日 時:2010年2月13日(土)
テーマ:労働法改革の基盤と方向性
報 告:水町勇一郎さん(東京大学社会科学研究所教授)
司 会:田端博邦さん(東京大学名誉教授)
派遣法の改正問題に見られるように、政権交代後、これまでの労働法制の動きには大きな変化が生まれつつあります。これまでの規制緩和一辺倒の改革から、労働者の権利や雇用安定をめざす方向へと立法政策の動向は変わりつつあるといってよいでしょう。労働市場や職場の現状を変える上で、どのような望ましい労働法制をつくりあげるかという構想力をもつことは、労働運動にとっても重要な課題になっているといえます。
2009年春に発表された連合総研のプロジェクト「イニシアチヴ2009-労働法改革のグランドデザイン」の主査をつとめられた水町勇一郎さんを迎えて、これからのあるべき労働法制の姿について議論を深めました。
派遣、有期などの非正規雇用にかかわる労働市場法制、長時間労働問題を解決するための労働時間法制、労働者の発言権を組織するための集団的労使関係法における方策(労働者代表制)など、プロジェクト研究が取り上げている論点は労働法制全体にわたっています。
報告内容を中心とした論文を『労働法律旬報』に掲載しました。
水町勇一郎「『上からの命令』『多数者による決定』から『現場・少数者の意見の反映・尊重』へ:『労働法改革』のための議論のポイント」『労働法律旬報』1724号(2010年7月25日発行)
プロジェクト研究の成果:
連合総研のホームページ(連合総研のホームページ「イニシアチヴ2009-労働法改革のグランドデザイン」)
水町勇一郎・連合総研編『労働法改革:参加による公正・効率社会の実現』(日本経済新聞社出版社、2010年)
報告者紹介:水町勇一郎さん(東京大学社会科学研究所准教授)。現在、労働法理論の第一線で活躍されている労働法研究者。著作に、『パートタイム労働の法律政策』(有斐閣、1997年)、『労働社会の変容と再生-フランス労働法制の歴史と理論』(有斐閣、2001年)、『集団の再生-アメリカ労働法制の歴史と理論』(2005年)、『労働法(第2版)』(2007年、有斐閣)など。